顧問からあいさつ

《はじめに》
   日本の国は地下資源が無いと言われております。世界には今現在発見されている鉱物は5000種類以上あるそうですが、日本では、その内の千数百種類の鉱物が発見されております。 ただ残念なことに今現在の科学として、それらの鉱物を活用する技術が進んでおりません。また鉱物資源の活用以前の問題として、その基礎となるはずの地学と言う学問自体が、 マイナーと言えるのかも知れません。その原因として、ベースとなる岩石や鉱物に対し、興味がつながる、段階的にアプローチをさせる思考が、学問的に足りないと思われます。
   例えば、大人や子供が河原や海岸で拾った石の、名前を知ろうとしたときにどうすれば良いのでしょう。まず思いつくのが岩石・鉱物図鑑でしょうか。
   植物や動物、虫などは図鑑でかなり調べることができますが、石は残念ながら調べあげるのはとても困難です。それは石の名前を特定する(特定できる)要素が、図鑑の情報ではとても不足しているからなのでしょう。
   石には色・形をはじめ化学的多様な要素が含まれ、名前がついているからです。ですから、図鑑で判断するには逆に、多くの石の知識が必要になります。では石の名前を、石の鑑定会などの専門家を頼る方法はどうでしょうか。 鑑定を受ける石が数種類であれば、それはそれで有効な手段かも知れません。
   しかし残念ながら、河原の石のすべての名前を答えてはいただけないでしょう。石の名前を知るには、何回も何回もそして何回も尋ね続ける必要が有ります。
   一般的には知られていない、もう一つの問題として専門家の資質の要素が有ります。石の鑑定は、その鑑定者により意見が異なる事がとても多いのです。 また鑑定に際しては、たとえ自分自身が石の正しい名前を知っていても、専門家の意見を否定してはいけません。その事実を受け入れる事が出来る専門家は・・・・・・・
   結論的には、残念なことに岩石や鉱物の名前を知ることは、とても限られており、汎用性に乏しい情報を得る事しか出来ません。

   石を学ぼうとする初学者が、初めにいだく知的好奇心には、とても貴重な数多くの、多彩な知的要素が含まれていると私は考えます。 ですから初学者の疑問を遮ってはいけません。しかし、専門家の発想自体は、経験的な枠組みに縛られており、 その疑問の重要性に気づく事はありません。 どんなにすごいとされる学者でも、枠内思考は「未来を切り開く知恵に結びつく発想」からは、程遠いのです。 今の現状、地学を学ぶ人の少なさや、指導者の少なさは、まさに地学の衰退を物語っていると言えますね。

   古い資料を調べますと、昔の地学の学者達が、山奥のさらに奥まで藪を漕ぎ、笹をかき分けて、地質調査を繰り返していた事がとても良く分かります。 何事においてもいえる事ですが、初めての発見へのアプローチは、困難を極める事は言うまでもないでしょう。 私の個人的な事ですが、その古い資料に登場する名前はとても懐かしく「あれ〜この人、同級生のお父さんじゃないの?」と驚くことも!
   世の中は変わり、何もかもが手軽に手にすることが可能に成っております。 石の発見も誰かに教わったり、連れて行ってもらい石を発見する事はとても容易な事です。 また、専門家の書いた資料や文献を読み、あたかも自分の知識が如くふるまう事も簡単でしょう。 ですが、自分で自分たちの力で切り開く石へのアプローチは特別なものです。 実際に石を手に取り、初めて感じる興味の世界は、科学の可能性を切り開き、未来へと導く道しるべになる事でしょう。

   私は、地学の講習会である専門家が「地学の知識の後継者がいない」と嘆いていました。 後継者を増やすには教育しかありません。 それは、学校教育と言うより、石に興味を抱く人を増やす事に尽きるでしょう。 でも、考えてみると「石の名前を知る手段が無い事」にすぐ気付きます。 教えてくれる人も多くはないでしょう。石に興味を抱く人が少なければ少ない程、石に関する学問は広がりを持ちません。 つまり学問も役立つ学物には成り得ません。それでなくとも地下資源が少ない日本、 せめて学問くらいは知識資源大国になる必要が・・・・・そのために・・・・自分が出来る事?
   石を知る手段の提供!・・・・拾える岩石・鉱物図鑑と知る図鑑!・・・
そこで始めた社会貢献活動!
札幌地質探究部を立ち上げました。
まずは、標本採取とホームページ作り・・・・まだまだ未完ですがご覧ください。

《活動目的は、石大好き人間を増やす事!》 地学を活発にするには、地学を学ぶ人を増やすことが大切。その為には地学に興味を持つ裾野を増やす事。 つまり、子供も大人も「石大好き人間を増やす!」事が何より大切です。日本の未来は岩石にあるかも。
   札幌地質探究部の活動は、地質巡検は北海道を中心に行動しておりますが、岩石資料の充実と知識の蓄積を目的として道外にも行きます。 また、学問的目的にとらわれない、宝石への興味やコレクター的趣味、床の間の水石的な鑑賞、 水晶や砂金などの一般的な興味目的までと「人々の初歩的な石の興味を満たす」部分を考慮して、紹介を始めて行きます。
   工業的活用目的に限定する事無く「石全般の趣向を満たす事」を、目的の主体としております。
   また、自然の岩石や鉱物が現す、ミクロのデザインの美しさの紹介や、一般人が見る機会の少ない岩石の美しさや不思議な魅力を紹介しますから、子供から大人まで楽しめる事が大切と考えております。